世にも奇妙な君物語 朝井リョウ
5篇からなる本作。
短編小説を久しぶりに読んで1話70ページ弱ずつある物語を読み終える度小さな達成感を味わいながらまた次が気になってしまうそんな本でした。
第1話 シェアハウスさない
久々に飲みすぎた雑誌編集者の女性の主人公がふとしたきっかけでその夜シェアハウスに住んでいる住人に介抱されてお邪魔させてもらい、今流行りのシェアハウスをついでに取材させてもらおうと潜入取材を試みます。
年相応の男女がシェアしてるのは家賃?居心地?それとも??みたいな話です。
第2話 リア充裁判
コミュニケーション能力推進法というおかしな法律が定められた世界で、ランダムに選ばれた若者が自分のコミュニケーション能力をプレゼンし、基準に達しない場合は課題をクリアせねばならないというお話です。
友達が少ないので渋谷のスクランブル交差点でワールドカップの時に100人ハイタッチみたいな課題です。
今の若者をリアルに描写した描き方は著者と同世代の私はイメージしやすい物語でした。
第3話 立て!金次郎
幼稚園教諭の体育会系主人公が今時っぽいクレーマーの保護者と、その保護者から機嫌をとる事に気を取られている他の先生の板挟みになりながら、子供達の為の幼稚園教育とは何か苦悩しながら直近の行事である運動会までを描いていく物語です。筋肉質で大型犬のようなクシャッとした笑顔の主人公。単純だなぁ〜。
第4話 13・5文字しか集中して読めな
短文で短く伝えるニュースサイトでライターを務める女性が主人公。自身は小三の子供を持ちつつ仕事もノリにノッてきた。旦那は忙しい部署から最近異動し、子供の食事もしてくれる協力的な夫。たまに終電になる日が多いと思っていたこの頃、主人公の元恋人の同僚がチラついたりもする。子供は自分の仕事を褒めてくれるし、将来ニュースを読みたいとも言ってくれる。授業参観では将来のやりたい仕事を発表するらしい。子は親をよく見てるし、素直さがこんなに残酷な物語を見たことないっす。
第5話 脇役バトルロワイヤル
前の4話を読んだ方々はお楽しみのデザートのような楽しみ方が出来ると思います。聞いたことのある名前の俳優たちの新作舞台のオーディション。頭に絵が浮かんでしょうがなかったです。奇妙な物語だけど不気味さより面白さが上回って読めました。最後はヒノノニトン的な気持ちのいい終わりでお後がよろしいようで。